【質問】 フリゲート「アドミラル・エッセン」について教えてください.

 【質問 kérdés】
フリゲート「アドミラル・エッセン」について教えてください.
Kérem, mondja meg a frigatt "Essen admirális"-ról.

 【回答 válasz】
 「アドミラル・エッセン」はプロジェクト11356M型,すなわちアドミラル・グリゴロヴィチ級フリゲートの2番艦.

 2011年7月8日,沿バルト造船工場「ヤンターリ」にて起工.
 2014年11月7日進水.
 艦の進水式典にはエッセン提督の血縁者,マーヤ・エッセンが出席.
 古き海軍の伝統に則り,彼女はフリゲートの艦体にシャンパンのボトルを打ち付け,長きに渡る海洋航海の成功を祈った.

 同年11月末,高射ミサイル複合体「シチーリ-1」の垂直発射機設置.

 2015年5月20日,造船所の岸壁で係留試験を開始.

 出航前の消磁作業を終えた後の同年10月18日,カリーニングラードからバルト艦隊基地バルチースクへ回航.

 同年10月28日,工場航行試験開始.

 同年11月5日,工場航行試験の枠組みにおいて初めて海へ出る.
 これは基本的には主動力装置の試験だが,他の艦載システムの点検も行われれた.

 2016年1月30日,国家受領試験開始.
 これはバルト艦隊の海洋射爆場で実施され,約1ヶ月間に渡って続くのが通例.

 同年2月6~7日,バルト海へ出航し,主にメインエンジン(ガスタービンエンジン)を動作チェック.

 その後もバルト海で各種試験が続けられ,3月下旬までに国家受領試験の第1段階は終了.

 同年3月21日までに,カリーニングラードからクロンシュタット(レニングラード海軍基地)へ移動.
 その際,この艦の為に意図された黒海艦隊船員から成る乗組員,工場の納入チーム及び国家受領委員会のメンバーが乗艦していた.
 この寄港は,おそらくは有翼ミサイル「カリブル」を補充する為.

 同年3月23日,バレンツ海方面(おそらくは北方艦隊基地セヴェロモルスク)へ向け出航.
 同年3月30日,遠距離航海から帰港途中の北方艦隊の大型対潜艦「ヴィツェ・アドミラル・クラコーフ」と北海で合流.
 以降,同艦は「ヴィツェ・アドミラル・クラコーフ」率いる北方艦隊の艦・支援船支隊の一員として(艦隊間)移動を行なう.
 同年4月4日,北方艦隊基地セヴェロモルスクへ到着.
 バレンツ海では北方艦隊海洋射爆場において,国家受領試験の第2段階である一連の艦の兵装及び機器装置の試験を実施.
 有翼ミサイル「カリブル」の発射試験などが行なわれた.
 同艦の航空兵装試験では,北方艦隊の早期警戒ヘリコプターKa-31Rも協力したという.
 同年4月19日,国家受領試験の第2段階完了.

 同年4月末ないし5月初頭,カリーニングラードへ帰還.
 同年5月26日に造船所から海軍へ納入する予定だったが,居住区の各種設備を再度点検する追加の検査出航のため延期.
 同年5月31日,受領-引渡証書への署名が行なわれ,ロシア海軍へ納入.
 同年6月7日,海軍旗の初掲揚式典・各艦隊部隊への編入が行われ,正式に就役.
 行事には
バルト艦隊参謀長セルゲイ・ポポフ中将
ロシア連邦海軍造船管理部長ウラジーミル・トリャピチニコフ少将
沿バルト造船工場『ヤンターリ』が加入する『統合造船業営団』の代表
が出席した.


 その後,バルト海に留まっていたが,10月下旬,黒海へ回航される事が決定.

 しかし10月下旬,『ヤンターリ』工場で後進水域した際,曳船の支援なしで停泊用ドラムへの接触を試み,スクリュー1基とその推進軸を損傷.
 修理が必要となり,黒海回航は延期に.
 この事故では負傷者も発生しており,艦長は更迭されている.
(後任の艦長には,前巡洋艦「モスクワ」1等航海士アントン・クプリン2等海佐が就任)

 「アドミラル・エッセン」は建造元の『ヤンターリ』へ回航,浮きドックで修理が行なわれた.
 2016年12月23日,修理完了.

 その後,バルト海で修理後の航行試験が行われた後,2017年3月7日,錬成任務の試験要素の枠組みにおいて,バルト艦隊のコルベット「ソーブラジテルヌイ」と共に砲撃訓練を実施.
 標的として曳航される海上標的が使用され,10以上の実地射撃と合同戦闘演習を行なった.
 更に,小型目標からの攻撃の撃退及び対空防衛の為の戦闘の要素へ取り組み,合同機動作戦,組織的な連携,艦の間の通信の課題を遂行.

 2017年4月28日頃,「アドミラル・エッセン」は出港し,本来の配備場所である黒海艦隊基地へと向かった.
 5月5日,ジブラルタル海峡を通過して地中海入り.
 同艦の地中海戦隊編入を,黒海艦隊代理人ヴャチェスラフ・トルハチェフは発表した.
 これはバルト艦隊から黒海艦隊への艦隊間移動の枠組みの中での地中海戦隊編入だった.

 その後,「アドミラル・エッセン」は地中海を東進.
 5月15日,表敬訪問,物資補充,乗組員休養の為,キプロス島南部のリマソール港へ寄港.

 5月23日~27日,リビア東部沖で演習を実施.
 これは,地中海における遠海ゾーンの海軍常設作戦連合部隊の戦力を成す黒海艦隊の,水上艦師団の計画査閲戦術演習で,公式発表によれば,船団護衛活動,組織的対空,対潜,対水中工作防衛の訓練,対抗海上戦闘への取り組みを実施した後,警備艦「スメトリーヴイ」は,空中標的への複合体「ヴォルナ」のミサイル射撃を実行.
 その後,「スメトリーヴイ」は,フリゲート「アドミラル・グリゴロヴィチ」及び「アドミラル・エッセン」と共に,海上目標を艦載砲射撃で撃破.
 更に,艦は,反応深海爆雷の射撃実行を伴う仮想敵潜水艦への攻撃へ取り組んだという.
 仮想敵潜水艦は「クラスノダール」が務めたと見られる.

 5月31日,「アドミラル・エッセン」は潜水艦「クラスノダール」と共にシリア沿岸沖の公海上から,シリアのパルミラ(タドムル)のISIL施設へ,有翼ミサイル「カリブル」を4度発射.

 2016年6月23日,同型艦「アドミラル・グリゴロヴィチ」,潜水艦「クラスノダール」と共に,地中海東部からシリア・ハマー県のアケルバト拠点の反政府武装勢力の施設へ有翼ミサイル「カリブル」を発射.
 ロシア軍発表では,ISISのの指揮所及び武器弾薬の大型倉庫を破壊したとされている.

 2017年7月4日,「アドミラル・エッセン」は「アドミラル・グリゴロヴィチ」「クラスノダール」らと別れ,ボスポラス海峡を北上,黒海入り.

 7月5日,セヴァストーポリに到着し,バルト艦隊から黒海艦隊への移動を完了.
 歓迎式典が開催された.

 しかし4日後の7月9日,セヴァストーポリを抜錨し,再び地中海東部(シリア沖)へ.

 7月30日の「ロシア海軍の日」には,シリアのタルトゥース港で挙行された観艦式に参加.

 9月4日,シリアのエシショラ市郊外,デリゾール集落付近へ有翼ミサイル「カリブル」を発射.
 ロシア連邦国防省発表では,ダーイシュの指揮所及び通信局,兵器弾薬庫,装甲車修理工場を破壊したという.
 アサド政府軍との共同作戦の一環の模様.

 9月21日,地中海を離脱.
 9月22日,セヴァストーポリへ帰投.

 2018年2月下旬,警備艦「プイトリーヴイ」(プロジェクト1135M),「スメトリーヴイ」(プロジェクト61)と共に演習を実施した.
 出航準備過程として,海軍の水上艦訓練コースに沿って様々なテーマの艦内演習を実施.
 特に,船舶航行集中海域での航海及び操艦の課題へ取り組み,海上および空中目標への砲射撃を実施し,仮想敵へのミサイル複合体「カリブル-NK」による攻撃へ取り組み,ミサイルの電子発射を行なったという.

 2018年3月13日,ボスポラス海峡を通過して地中海入り.
 同型艦「アドミラル・グリゴロヴィチ」との交代の為と見られる.

 3月21日,地中海東部において艦載ヘリコプターKa-27PLの飛行訓練,およびヘリコプターの飛行を支援する艦の航空複合体の艦内班の訓練を実施.

 その後,地中海東部で米英などの艦船の監視任務に就く.
 4月上旬には,シリア政府軍の化学兵器関連施設への英米仏軍による攻撃に参加しようとした,「アスチュート」級英原潜を妨害.
 同原潜への追跡は数日続いたという.
 2018年4月11日~12日,4月17日~19日,4月25日~26日には「演習」の傍ら,地中海東部(シリア沖)へやって来るアメリカ海軍などの軍艦を追跡.
 5月末には,「アドミラル・グリゴロヴィチ」と共に,地中海東部で艦載ヘリコプターの訓練を実施.

 2018年6月28日,ダーダネルス海峡へ入り,地中海を去る.
 6月30日,セヴァストーポリへ帰港.

 2018年7月29日の『ロシア海軍の日』には,セヴァストーポリの観艦式へ参加.

 2018年8月24日頃,「アドミラル・グリゴロヴィチ」と共に母港セヴァストーポリ出港.
 8月25日,ボスポラス海峡へ入り,地中海へ.

 2018年9月1日から8日まで地中海東部で実施された,ロシア海軍とロシア航空宙軍の大規模演習へ参加.

 米艦等の監視任務に就きつつ,2018年11月16日には,同型3番艦「アドミラル・マカロフ」と共に艦載ヘリコプターの訓練を実施.

 2018年11月20日,「アドミラル・マカロフ」と共に対空防衛演習を実施.

 2018年12月25日,ダーダネルス海峡へ入り,地中海を去る.
 12月26日,セヴァストーポリへ帰投.
 長期航海から帰投した艦へ捧げられる式典が,黒海艦隊司令官アレクサンドル・モイセーエフ中将の主催下で,セヴァストーポリにおいて開催された.

 2019年2月28日,「アドミラル・エッセン」は母港セヴァストーポリを抜錨し,地中海東部へ向かう.
 これは,2018年11月初頭から地中海東部に滞在している同型艦「アドミラル・マカロフ」と交代するため.
 3月1日,「アドミラル・エッセン」は,ボスポラス海峡を通過し,地中海へ入る.

 米艦などの監視任務に就きつつ,2019年4月23日には地中海東部で,フリゲート「アドミラル・グリゴロヴィチ」,小型ロケット艦「オレホヴォ・ズエヴォ」と共に夜間通信訓練を実施.
 黒海艦隊広報部発表を見る限り,通信は発光信号のみで行なわれた模様.

 その後,地中海を去り,4月30日にトルコのイスタンブールへ到着.
 これは,4月30日から5月3日までトルコで開催される防衛展示会IDEF(International Defense Industry Fair)'19に「出展」されるため.
 『IDEF'19』が終わった5月3日,イスタンブールを出航し,黒海入り.
 5月4日,セヴァストーポリへ帰投.

 【参考ページ Referencia Oldal】

  • 最終更新:2019-10-13 09:47:20

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